多世代交流サロン「ヌック」開設の思い
がらんとした殺風景な空間。ここをどんな場所にしよう―。
2021年3月。ココプロはマルシェに隣接する60㎡ほどの空き部屋を借りました。かつて放課後になると、近所のお子さんたちの声が聞こえていたこの部屋、もとは学習塾でした。マルシェスタッフに「こんにちは!」と声をかけてくれたお子さんたちのあどけない笑顔、そしてマルシェに集う方たちとの交流・・・。そんな温かい風景を思い出しながら、そうだ、この広い空間をもっともっと地域の方に活用していただこう!―自然にそんな思いが湧いてきました。
時はコロナの渦中、世代を問わず、人との交流が一層難しくなってきていました。マルシェでも基本的な感染予防策をとっていましたが、しばらく休業したほうがいいのかも…と悩みました。そんな中、わずかな時間でもお客様同士やスタッフが対話し、お互いに笑顔を交わし続けてきました。その笑顔に触れるたび、今だからこそ、マルシェをオープンし続ける意味があるのではないかと感じ始めていました。この小さなマルシェに生まれる、人と人との交流の灯を絶やしたくない―。
そこで敢えて、マルシェを拡張し「多世代交流サロン」をオープンすることにしました。名前は「ヌック」。「こじんまりした居心地の良い空間」を表すスコットランド語です。そう、隠れ家や秘密基地のような「なんとなく落ち着く場所」のイメージです。また、日本語の「ぬくもり」に重ねられます。
以来半年間、地域にお住いの赤ちゃんから年配の方まで、すべての人の「ヌック」を創るため、スタッフ一同ミーティングを重ねてまいりました。夢はふくらむばかりで、これから「ヌックカフェ」「ヌックシニア」「ヌックキッズ」「ヌックベビー」などなど、様々な交流の場を段階的にオープンする予定です。
店内のリフォームでは、多くの方のご尽力により、木造校舎をイメージしたぬくもりのある空間を創ることができました。どなたでも気軽に立ち寄ってコーヒーを召し上がれるよう、本格的なコーヒーマシンを導入いたしました。また、車いすの方に利用していただけるよう、トイレや入り口をバリアフリーに改修しました。一人でも多くの方が集われ、対話や笑顔がたくさん生まれますように・・・。
これまで、地域で活躍されている地域包括支援センターの生活支援コーディネーターの方、こどもの食育や学習支援をされているNPO法人の方、ケアマネージャーさん、福祉用具専門相談員の方、配食サービス事業者の方、地域食堂を運営されている方、民生委員さん、社会福祉協議会の方、自治会の方、市の高齢福祉課の方など、多くの方々にお話を伺いアドバイスをいただきました。皆様がココプロの活動を温かく見守ってくださったこと、スタッフ一同、感謝の気持ちでいっぱいです。
ココプロは、2021年11月、NPO法人化いたしました。NPO法人ココプロの社会福祉事業のひとつ「多世代交流サロンヌック」では、「地域のすべての世代の方に心温まる居場所(ヌック)を創る」を基本理念に、地域の方々と共に、ここに居心地の良い空間を創り、進化させていくことが、スタッフ一同の大きな願いです。
2022年1月
ヌック責任者
社会福祉士 渡邊暢子